有姿除却

Q. 使用しなくなった固定資産は、廃棄処分していないものであっても、税務上その帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金算入することができるとのことですが、どのようなことなのか説明してください。

A. 固定資産とは、会社が事業で使うための長期にわたって使用される資産のことを言います。このような固定資産が使われなくなった場合、解体や破壊、廃棄などにかかる費用が多くかかるため、すぐに処分されないことがあります。例えば、将来的にわずかながら使うかもしれない、または解体に多額の費用がかかる等の理由でそのまま保持している場合がそれにあたります。このような状態で、資産がもはや事業で通常通りに使える可能性がなくなり、その価値が失われたことが証明されれば、その資産の帳簿上の価値から処分時に期待される価値を引いた金額を、損金として計上することが許されます。これを「有姿除却」といいます。

有姿除却が適用される固定資産には主に以下の2つがあります。

1. その使用が中止され、今後通常の方法で事業で使用される可能性がないと判断される固定資産。

2. 特定の製品を作るためだけに使われていた金型などで、その製品の生産が止まったため、将来ほとんど使われることがないと思われるもの。

有姿除却に当たっての取壊 し費用見積額等 【間6-61l ① 有姿除却処理によつて計上する除却損失に、その 対象資産の取壊し費用の見積額を加えることができますか。 ② 廃品回収業者に買取価額を見積 もってもらったところ、スク ラップ価額よりも廃棄費用の方が高く、業者にその差額を支払 わなければならないような場合は、いかがでしようか。 【答l ①について……有姿除却資産の取壊し費用は、有姿除却時には取壊し の事実がまだ生じておらず、確定債務の要件(基 通2-2-12、 【問2-23】 参照) を満たしていませんので、除却損失に加えることはできません。 また、有姿除却 によつて除却損 として損金の額に算入することができる金 額は、対象資産の帳簿価額か らその処分見込価額を控除 した金額 とされてい ますが、この処分見込価額 とは当該資産のスクラップ価額その もので、スク ラップ価額から取壊 し費用の見積額 を控 除 した金額ではあ りません。いいか えれば、処分見込価額を取壊 し費用の見積額を控除 した後の金額 として、有 姿除却 に当たっての除却損失の金額 を高 くすることはで きません。 ② について……除却する資産を廃品回収業者に売却するときの処分見込価 額 は、廃品回収業者の買取価額ですが、その価額は、事実上スクラップ価額 か ら当該廃品回収業者において要すると見積 られる廃棄費用の額 を控除 した 金額 となるで しょう。その場合は、当該買取価額 を処分見込価額 として、除 却損の計算 をすることがで きます。 したがって、御質問のようにスクラップ 価額 よ りも当該廃品回収業者において要する廃棄費用の見積額の方が高い と きは、処分見込価額 をゼロとして除却損失を計算することがで きます。 

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