Q.公道に面している自社の工場が自動車事故によって被害をうけ、塀と建物の一部が損壊しました。加害者から損害賠償金を受け取りましたが、復旧工事は翌事業年度に行う予定です。当事業年度の計算書類で、損害賠償金を預り金として経理しておくことは可能ですか?なお、塀は除却して建て直さなければなりませんが、建物は部分的な修繕をすれば原状回復が可能です。
A.固定資産が滅失または損壊したことにより受ける損害賠償金で、その滅失または損壊した日から3年以内に支払の確定したものは、法人税法第47条の規定が適用される保険金等に含まれます。この損害賠償金で取得する代替資産について、保険金等で取得した固定資産の圧縮記帳の規定を適用することができます。もし代替資産の取得時期が損害賠償金の支払を受けた事業年度後となる場合、原則として翌事業年度の開始日から2年間、特定の計算式によって計算した金額を特別勘定として経理しておくことができます。質問のケースでは、塀は建て直すため代替資産の取得となります。従って、その事業年度の確定した決算において、計算式によって計算した代替資産の取得に充てようとする部分の金額を、特別勘定として経理することが認められます。翌事業年度に代替資産を取得した場合の圧縮限度額は計算式により求められます。一方、建物の部分的な修繕では代替資産の取得にあたらず、そのため特別勘定として経理できる規定はありません。加害者から建物の修繕のための損害賠償金を受け取った事業年度には、損害賠償金額を益金に算入しますが、それに伴う建物の一部損壊による損失額は、損害が発生した事業年度で損金に算入できます。