Q.事業を営む個人が、事業運営中に交通事故を起こし、被害者に損害賠償金を支払うことになりましたが、総額が年末までに確定せず、翌年に持ち越されました。しかし、被害者には既に内払いとして100万円を支払い、損害賠償金がこの金額を下回ることはないとされています。この場合、内払い金については支払った年度の必要経費に算入できないのでしょうか?
A.損害賠償金を必要経費に算入する条件について、基本的には債務の総額がその年度内に確定している必要があります。具体的には、その年の終わりまでに債務が成立しており、債務に基づく具体的な給付の原因が発生していて、その金額を合理的に算定できる必要があります。しかし、もし確定していなくても、最低限確実に発生する費用については、その部分は算入できると考えられます。この理論に沿って、損害賠償金の場合、支払の根拠となる事実がその年内に発生しており、総額が確定していなくても、その年の終わりまでに申し出た金額(保険等で補填される部分を除く)に関しては、必要経費に算入できます。従って、質問のケースでは、相手方との間で争いがなく、支払った100万円が最低限確実に発生することが確認できていれば、その金額を支払った年度の必要経費に算入することが認められます。