Q. 貸借対照表の流動負債に「役員賞与引当金」を計上している上場会社がありますが、この引当金の性格はどのようなものですか。法人税法第34条 第1項 第3号の業績連動給与との関係は、どのようになりますか。
A. 上場会社が貸借対照表に計上している「役員賞与引当金」とは、役員に支払われる賞与を会計期間の費用として処理するという「役員賞与会計基準」に基づいています。この基準によると、役員賞与はその会計期間に発生した費用とみなされ、株主総会で決議されるまでの額または見込み額を原則として引当金として計上します。
役員賞与の会計処理は会社法の施行によって変化しました。以前は、役員賞与が未処分利益の減少として扱われていましたが、会社法施行後は役員賞与が役員がその職務執行の対価として受ける利益とされ、そのための費用として会計期間に計上されるようになりました。役員賞与は株主総会での決議がなされる次の事業年度に支払われるため、事業年度末の貸借対照表では流動負債として「役員賞与引当金」が記載されます。
法人税法での業績連動給与と「役員賞与引当金」との関係については、役員賞与引当金は税法上での規定がないため、計上された事業年度では申告時に加算されます。給与が実際に支払われると、申告されていた「役員賞与引当金」は減算されて利益積立金額から除去されますが、その給与が税法上損金として認められるかは、業績連動給与としての要件を満たしているかに依存します。要件を満たす場合には、支払われた事業年度において損金として計上することが可能です。