Q.株式会社の専務取締役、常務取締役などの表見代表取締役が使用人兼務役員に該当しないこととされているのはなぜですか?また、表見代表取締役に該当するかどうかの判断は、何を基準にして行いますか?
A.株式会社では、使用人兼務役員になれるのは基本的に平取締役に限られており、専務取締役や常務取締役はその条件を満たすことができません。専務取締役や常務取締役は、社長や副社長と同じく、会社を代表する権限を持っていると見なされます。そのため、彼らが行った行為については、社外の善意の第三者に対して会社が責任を負うことになります。税法上も、これらの役員が外部に対して会社を代表していると表示している以上、実際にそうであるとみなし、使用人兼務役員にはなれないとしています。
代表取締役については、その氏名と住所が登記に記載されており、外部の人は登記を閲覧することで代表取締役かどうかを確認できます。しかし、代表権のない取締役に代理権を与えた場合、その取締役は代理人として行動できますが、代理権の有無を登記から確認することはできません。この制度は、善意の第三者を保護するために設けられています。
取締役が表見代表取締役となるのは、会社の内部規定や決議によってその地位が明確にされている場合と、単に通称として専務、常務などの名称が付けられている場合があります。大企業では前者が多いですが、小規模な家族経営の会社では後者が多く見られます。税務上、専務取締役等が使用人兼務役員になれないことによる不利な規定が適用されないよう、使用人兼務役員とされない範囲は、公式にその地位が認められている場合に限られます。