Q.定時株主総会終結の時をもって退任する取締役4人に対して、退職給与を支給することとし、その具体的な金額や方法は取締役会に一任する旨の決議を行います。しかし、会社の資金事情からすぐに4人全員に退職給与を支給することができないため、1人だけに先に支給し、残りの3人は翌事業年度以降に支給する予定です。このようなケースでの税務上の問題について教えてください。
A.取締役の退職給与は、通常、株主総会の決議をもとに、その後の取締役会で支給の具体的な金額や方法が定められます。税務上、退職給与が損金として認められるのは、取締役会で支給額が具体的に決定されたときの事業年度です。つまり、今回のケースでは、残りの3名の支給額が具体的に決められたときがその基準になります。遅れて支給する場合でも、その支払いが行われた事業年度で損金経理をして正しく算入することが許されています。ただし、ここで注意が必要なのは、全ての取締役に対して同様の対応を取らないことが、会社法や企業会計の原則に反する可能性がある点です。たとえ資金繰りの問題で一時的に支給できない場合でも、退職給与の支給額と方法を明確にして、未払いとして計上することが基本であるため、差し引きで計算しない方法は推奨されません。