Q.会社法第448条第1項第2号の規定による準備金の資本組入れとして利益準備金の資本組入れをした場合、または同法450条第1項の規定による剰余金の資本組入れとして繰越利益剰余金の資本組入れをした場合、別表五(一)に、【問27-3】に準じた記載をすべきことになるようですが、具体的に説明してください。
A.株式会社は、株主総会の決議を通して準備金または剰余金を減らし、その分を資本金に足すことができます。ここで、税法では準備金が資本金に関係する取引か、それとも利益に関係する取引かで分けられ、記載方法が変わります。資本準備金は例えば株式の発行時に株主から受け取ったお金の一部で、会社法に基づいて資本金に計上されない部分です。利益準備金は、配当をする際に基準となる準備金が足りない場合に積み立てられるお金です。
税法上、資本組入れした場合、その金額は資本金から引かれますが、これには例外があります。たとえば、利益準備金や繰越利益剰余金から資本金への振替えがあった場合、資本組入れされた金額は引き続き利益として扱われ、会計上の利益と資本金の総額は変わりません。
資本金等に該当する準備金の場合は、資本準備金から資本金への振替えがありますが、別表五(一)のⅡに記載します。利益積立金額に該当する場合は、利益準備金または繰越利益剰余金から資本金への振替えがありますが、これは振替えによって資本金等の額を減少させ、利益積立金額のままにします。これにより、資本金の増加分として記載され、利益積立金額の減少分と相殺されます。
さらに、剰余金の額を減少させて資本金を増やした場合、税法上は資本金等の額にも影響しますが、これには資本剰余金と利益剰余金の区分によって変わります。また、この種の資本組入れによるみなし配当課税は行われません。資本金の額を増やす代わりに、資本金以外の金額を減らすことで、会計上と税法上での資本金の額が異なってしまう問題を解決しています。