Q.家主の都合で10年間使っていた借家を明け渡すことになり、家主から立退料を受け取りましたが、その立退料が何所得とするか迷っています。その判定方法を教えてください。
A.借家を明け渡す際に受け取った立退料は、その目的によって大きく3つに分けることができます。1つ目は立退きのための費用の補償、2つ目は借家権の消滅による対価、3つ目は事業者の場合の営業補償です。これらは通常、複数の性質が混在するため、立退料をどの区分に属するか正確に分けて処理する必要があります。区分が明確であれば、1つ目は一時所得、2つ目は譲渡所得、3つ目は事業所得としてそれぞれの所得金額を計算します。
ただし、立退料がどの区分に属するか明確にすることが難しい場合、実際に立ち退くためにかかった費用を除いた残額を借家権の対価とする方法も考慮されます。地域によっては借家権の取引慣行があり、その地域では立退料の一部が譲渡所得となることもありますが、取引慣行がない地域では一時所得となることもあります。
借家権の対価に関連する譲渡所得は土地建物の譲渡所得とは異なり、保有期間5年以下の場合は短期譲渡所得として扱われます。総合課税の長期譲渡所得は、総収入金額から取得費や譲渡費用を差し引いた後、特別控除を適用して計算します。そして、他の所得と合わせて計算する際にはその半分が総所得金額になりますが、短期譲渡所得にはこの半額の税制は適用されません。