Q.私は、事業資金に使うため、私の所有する土地を担保に金融業者から借金をしました。その際、返済期限を過ぎても返済しない場合は担保の土地で返済する契約を結んで、その仮登記をしました。その後、経営がうまくいかず、返済期限が経過してしまい、担保の土地を取られてしまいました。借入金残額は未払利息を含めて2,700万円でした。この土地は30年前に300万円で買っていたものです。このような場合でも資産の譲渡があったとして課税の対象になるのでしょうか。
A.はい、自己の債務を土地により返済したため、その弁済額を収入とみなして所得税(譲渡所得)が課税されます。「代物弁済」とは、金銭ではなく資産を債権者に渡して自己の債務を消滅させる行為を指します。この場合、担保物件の所有権が債権者に移り、その債権者に対する債務が無くなるため、経済的な効果が発生します。その結果、消えた債務の金額を譲渡収入として見なし、譲渡所得を計算します。代物弁済の場合、土地の価格が債務をカバーするかどうかで場合分けがあります。土地の価格が債務より低い場合、土地価格で譲渡したと見なされ、残りの債務は免除されます。土地の価格が債務をカバーする場合、全額が譲渡所得となります。ただし、資力が失われ、債務の弁済が困難な状況下で、強制的な手続きを避けるために自発的に行われた代物弁済で、その代価で債務を清算した場合、譲渡所得は課税されません。