Q.法人税法第55条に規定されている不正行為等に係る費用等の損金不算入について、その内容を説明してください。
A.法人税法第55条では、税金の計算で損金として認められない特定の費用や損失について規定しています。これらは主に次の4つのカテゴリーに分けられます。
1. **隠蔽仮装行為に関連する費用や損失**:
– 法人が実際には発生していない事実を作り上げたり、実際に発生した事実を隠したりすることで、法人税の負担を不当に減少させようとした場合に発生する費用や損失。
– 例えば、簿外資金を作る行為で発生した交通費、消耗品費、手数料などや、その資金を使った財テク活動による投資損失などが該当します。
2. **特定の違反行為に基づく租税公課**:
– 国税や地方税に関して、納期限の延長を除く延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税などがこれに含まれます。
– また、特別法人事業税や特別法人事業譲与税に関する延滞金、過少申告加算金、不納付加算金、重加算金も該当するほか、地方税法に規定する貨物割、譲渡割に関連する遅延税なども含まれます。
3. **罰金、科料、過料などの負担**:
– 法律違反などが原因で課される罰金や科料、過料、諸課徴金、延滞金などが該当します。
4. **賄賂に関する費用や損失**:
– 法人が刑法や不正競争防止法に定められた賄賂やその他金銭その他の利益を提供する行為に関連して発生する費用や損失。
また、令和5年1月1日以降に開始する事業年度からは、隠蔽仮装行為に基づき誤った確定申告をした法人について、その事業年度の原価、費用、損失の額を損金に算入できない新たな規定が適用されます。ただし、法人が正当な帳簿書類を保持しており、取引が明確になっている場合など、一定の条件下では損金算入が認められます。