Q.令和5年2月に室内装飾店を開業し、同時にレジャー用に使用していた乗用車を営業用に転用しました。この乗用車は平成31年2月に140万円で購入し、営業用に転用した時点での評価額は100万円でした。この場合、今年の減価償却費は100万円を基として計算すればよいのでしょうか。
A.所得税法では、非業務用として使っていた資産(例えば乗用車など)をビジネスで使用するように転用した場合、その転用の日をその資産が売却されたとみなして、その資産の取得費と考えられる金額を新たな償却の基礎として減価償却費を計算します。この計算は、資産の取得価格から、その資産がビジネスで使用されていなかった期間の間、減価償却を1.5倍した耐用年数に基づいて計算した減価償却の額を引くことで行います。そして、この方法で計算された未償却残高が転用日におけるその資産の償却後の価額となります。従って、お持ちの乗用車の場合、140万円から特定の式に基づいて計算した結果、未償却残高は840,560円となり、この金額を基に減価償却費を計算します。定率法あるいは定額法を選択して計算した結果、減価償却費はそれぞれ256,581円または214,317円となります。この計算では、転用時の市場価格100万円ではなく、実際の購入費用等を基にした計算が必要です。また、乗用車の取得価額とその後の未償却残高との差(この場合は559,440円)は事業所得計算上、必要経費として扱われます。