金銭債権の譲渡による損失

Q.得意先であるA商店の売掛金残高が100万円あり、そのA商店が業況不振で銀行から取引停止の通知を受けた状況で、別の債権者が売掛金を50%の額で譲り受けたいと申し出があり、譲渡することにしました。この金銭債権の譲渡損失は事業所得の必要経費に算入できるか。

A.金銭債権の譲渡によって生じる利益は、通常、それが元本を超える部分については、金銭債権が値上がりしたことによるものではなく、金利に相当するものとして考えられます。そのため、この種の譲渡利益は一般的に事業所得や雑所得に分類され、譲渡所得には含まれません。しかしながら、売掛金や受取手形などの金銭債権には利息がつかないことが多く、債権者は集金手数料や貸倒リスクなど追加の負担を負うことがあります。そのため、債権を元の額より低い価格で譲渡することが一般的です。特に、今回の場合では、債務者であるA商店が業況不振により銀行からの取引停止処分を受け、倒産寸前にあるため、貸倒損失が発生することは避けられないと考えられます。このような状況を考慮すると、金銭債権の譲渡によって生じた損失は、形式上譲渡損失としてではなく、実質的には貸倒損失として扱われ、したがって必要経費として算入することが可能になります。ただし、債権の譲渡先が債権者との間に親族関係や同族会社など特別な関係がある場合、贈与と見なされる金額については、貸倒損失から除外される点は注意が必要です。

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