Q.圧縮記帳の計算において、資産を譲渡するためにかかった経費を補償金等から差し引いたり、譲渡資産の帳簿価額に加えたりする理由は何ですか?そして、この違いによって圧縮記帳の計算がどのように変わるのか説明してください。
A.圧縮記帳では、資産の譲渡に関して受け取る代金には二種類あります。一つは保険金や収用補償金などの補償金的なもので、もう一つは特定の資産の買換えなどで得られる譲渡資産の対価そのものです。補償金的なものの場合は、まずその金額から譲渡経費を差し引き、残った金額を譲渡資産の対価として扱います。しかし、譲渡資産の対価そのものの場合は、譲渡経費を譲渡資産の帳簿価額に加えて計算します。例えば、譲渡資産の帳簿価額が380万円、譲渡経費が50万円、譲渡による受取金額が1億円の場合、収用補償金として受け取った場合と特定の資産買換えの場合で差益割合が異なります。具体的には、収用補償金の場合の差益割合は0.69となり、特定資産の買換えの場合の差益割合は0.57となります。この差によって、譲渡による受取金額が1億円以上の代替資産を取得する際の圧縮限度額が異なり、特定資産の買換えの場合の圧縮限度額は収用補償金の場合に比べて減少します。この違いは、譲渡経費の処理方法によって生じるため、圧縮記帳の計算でこのような区別を行います。