貸倒損失の計上を遅らせて利益操作した場合

Q.金銭債権について回収不能であることが明らかになった事業年度に貸倒処理をせず、その後の事業年度において貸倒処理をすると、税務上どのように取り扱われますか。

A.回収が不可能と判断された金銭債権について貸倒処理を行わずに資産として計上した状態で計算書類を作成することは、資産の過大表示となり、会社法や会計基準に反します。これは税務上も認められない行為であり、利益を意図的に操作することになります。税務上は、回収不能が確定した事業年度に貸倒れを損失として計上することが、法人税基本通達で求められています。したがって、後の事業年度で貸倒処理を行った場合、その損失は税務上認められず、申告する必要があります。この手続きは、利益操作を防ぎ、適切な損失の計上タイミングを確保するために設けられています。ただし、この取り扱いが厳格に適用されることで、回収不能債権の処理について課題が生じる可能性もあるため、適切な時期に貸倒処理を行うことが推奨されます。また、個別評価金銭債権に関する貸倒引当金の計上については、特定の要件を満たす場合に限り、確定申告書提出後でも損金算入が認められることが指摘されています。これにより、適切な貸倒損失の計上が強調されており、利益操作を回避する必要があることが明示されています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です