融通手形に対する一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入れの可否

Q.法人税基本通達11-2-17の後段に示されている、「裏書により取得した受取手形で、その取得の原因が売掛金、貸付金等の既存債権と関係ないものについて更に裏書譲渡をした場合には、その受取手形の金額は売掛債権等の額に含まれない」とはどういう意味ですか。

A.この文言は、手形を売掛金や貸付金の回収手段だけでなく、主に融資を受ける目的で受け取る場面について述べています。例えば、ある企業が他の企業から融資を受ける際に、その企業が発行した手形を受け取ります。このケースでは、受け取った手形(債権)と同時に資金を借りること(債務)の両方が存在します。この状況では、手形に関連する貸倒れリスクを想定しないため、貸倒引当金を積む対象外とされています。一般的に、このような融資の手段として受け取られる手形は第三者が発行し、借入先が裏書することが多く、これにより手形は換金しやすくなります。しかし、この手形を割引き(現金化)すると、手形債権が消滅し、基本的には既存の売掛金や貸付金等の債権がないため、一括評価金銭債権として貸倒引当金を積む対象にはなりません。主な理由は、裏書手形や割引手形に関連する貸倒引当金は、既存の債権に対して設定されるものであって、手形の不渡り等のリスクに対応するためのものではないからです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です