Q.前事業年度から振替えて作った準備金を税法の規定に従って取り崩した場合、その計算書類の記載方法と申告調整方法はどうなりますか?また、税効果会計を適用している場合の会計処理と申告調整方法についても教えてください。
A.前事業年度に繰越利益剰余金から振替えて設定され、損金処理された特別償却準備金140万円のうち、次の事業年度に税法に基づいて20万円が益金に算入される場合、会計上は以下の仕訳を行い、株主資本等変動計算書に記載します。「特別償却準備金 20万円/繰越利益剰余金 20万円」と記入します。申告書では、特別償却準備金の取り崩しに関して、まず別表五(一)のI欄に140万円プラスとして記載し、取り崩し額の20万円を加えることで構成されています。取り崩し額が損益計算書上では利益には含まれていないため、別表四において20万円を「特別償却準備金取崩額」として加算し、これを基に別表五(一)のI区分欄に特別償却準備金の認容額として20万円マイナスを記載します。
税効果会計を適用している場合、特別償却準備金から繰越利益剰余金への振替え額は、税効果相当額を差し引いた額(この事例では20万円 – 6万円 = 14万円)とし、税効果相当額の6万円は、繰延税金負債と法人税等調整額として処理します。「繰延税金負債 6万円/法人税等調整額 6万円」とします。申告書での扱いでは、税効果相当額6万円を別表四で法人税等調整額から減算し、別表五(一)のIに「繰延税金負債」として6万円プラスで記載します。特別償却準備金の記載については、税効果会計の適用があるかどうかに関わらず、取崩額を20万円とします。