Q.私は弟の経営する会社に保証人として名を連ね、同時にその会社が私の銀行借入れの保証人になっていました。このように相互に債務保証をしている状況で、弟の会社が倒産し私が負った保証債務の損失は、私の事業所得から必要経費として控除することは可能ですか?
A.まず、一般的なケースとして、事業で用いる資金を得るために、他者と融通手形を交換し、その結果生じた受取手形が不渡りになった場合、その貸倒損失は必要経費として扱われます。この基準は、事業の遂行に必要な資金の調達に関連した債権であれば、取引関係の存在有無にかかわらず、貸倒損失の対象とする考え方に基づいています。しかし、あなたのケースでは、相互の債務保証が事業遂行に直接関連するかの判断が焦点となりますが、債務保証は融通手形のように一つの契約で同時に債権債務が発生する性質のものではありません。そのため、各保証契約を個別に事業遂行上必要なものかどうかを判定する必要があります。あなたの場合、保証契約が事業遂行に直接関連しているとは認められないため、その損失を必要経費として控除することは認められないと考えられます。また、債務保証は事業上のみならず、私的な関係でも行われることが一般的であるため、自動的に事業遂行のためのものとは見なされません。