Q.特定同族会社の特別税率に関連して、法人税法第57条に基づく繰越欠損金の損金算入規定の適用により当事業年度の所得に対する法人税が課税されない場合でも、特定同族会社の特別税率による法人税が課税されますか?また、法人税法第80条に基づく欠損金の繰戻しによる還付を受ける場合、特定同族会社の特別税率に係る法人税や使途秘匿金に関する追加法人税も還付の対象になりますか?
A.まず、法人税法第57条における繰越欠損金の損金算入は、事業年度ごとの所得金額を計算する際に適用される規定ですが、これは特定同族会社の特別税率を計算する際の留保金額計算には影響しません。留保金額は年度ごとに求められ、過去のマイナス留保金額を後の年度のプラス留保金額と合計することは不可です。つまり、過年度の利益で欠損金を補填した場合でも、税務上の繰越欠損金が残存している状態であっても、配当を行うことによって後年度の留保金額への課税を避けることが可能です。このため、繰越欠損金の損金算入の適用により所得金額がゼロとなっても、留保金額発生の可能性があり、これに対する特別税率の適用と重複課税の議論は存在します。
一方、法人税法第80条に基づく欠損金の繰戻しは、還付対象を所得事業年度の法人税額に限定しており、特定同族会社の特別税率に関連する法人税、土地の譲渡益に対する特別法人税、使途秘匿金に関する追加法人税も含まれますが、これら加算された税額は繰戻しの対象外となる規定が設けられています。しかし、特定同族会社の特別税率に関する法人税についてはこのような規定がないため、繰戻しの対象となり得ます。