Q.知人が経営する上場法人が増資し、その際に新株の割当てを受けることになりました。私が払込みを予定している額面の約3倍の現在の株価でこの場合、課税の対象になるのでしょうか。
A.法人が増資のために新株を発行し、既存株主が所有する株数に比例してこれを受け取った場合、所有する株式の数は増えますが、株式が表す経済的価値の増加はないため、所得税の課税対象にはなりません。しかし、既存の株主が所有する株数を超えて新株を受けた場合や、新たに株主になった場合には、株の時価が実際に払い込んだ金額を超える部分に対する利益について所得税の課税対象となります。株式を取得する権利が与えられた場合、これが発行法人の役員や従業員(退職者も含む)に対して給与や賞与、退職金に相当する場合は給与所得や退職所得として、その他の場合は一時所得として課税されます。あなたの場合は一時所得として課税されます。株式を取得する権利に関連する所得の計算は、その権利に基づく払込みの期日における株価から、その権利を取得するために支払った金額とそれを行使する際に払うべき金額を差し引いた金額とします。所得の発生する時期は、基本的に株式の取得に申し込んだ日ですが、申込み日が不明な場合は申込期限で判断されます。ただし、株式の割当てを受けた後に申し込みをしなかったり、申し込みを取り消したり、払込みを行わなかったりして権利を失った場合には、税金は発生しません。