Q.関係会社A社が所有するビルを当社が賃借している状況で、ビルが収用され、起業者からA社へ対価補償金が、当社へ経費補償金が支払われた際、対価補償金のうち借家人補償金部分をA社が当社に支払わなかった場合、A社および当社がそれぞれ受け取った補償金に対する収用等の場合の課税の特例の適用はどのようになりますか?
A.ご質問の状況では、建物の収用に伴い支払われる対価補償金の中には、本来借家人である貴社へ支払われるべき借家人補償金が含まれています。通常、家主に一括して支払われる補償金には、借家人へ支払うべき借家人補償金も含まれる場合がありますが、家主はこれを借家人に支払う義務があります。借家人補償金の額は、通常借家人が受け取るべき金額として、起業者が他の借家人に対して行った補償の状況を基に計算されます。
家主がこの借家人補償金の支払いを怠った場合、その金額は借家人から家主への贈与と見なされます。そのため、家主であるA社は、受け取った対価補償金のうち、収用等に関する課税の特例を受けられるのは、贈与とみなされる部分を除いた残りの金額です。借家人からの贈与とみなされた金額は、益金として考慮されます。
次に、借家人である貴社は、借家人補償金相当額を贈与としてA社に提供したとみなされます。この場合、貴社は5,000万円までの特別控除を受けることができます(ただし、代替資産の取得が行われていない場合)。また、貴社が資金で代替資産を取得した場合には、圧縮記帳の特例の適用を受けることが可能です。この特例を受けるためには、家主が受け取った収用証明書のコピーを、確定申告に添付する必要があります。
最後に、貴社が受け取る経費補償金は、休廃業等に伴う事業上の費用や、収用された資産以外の損失補填に使用されるもので、収用等の場合の課税の特例の適用はありません。