Q.事実を隠蔽し、または仮装して経理をすることにより役員に対して支給する給与の額が損金不算入と規定されていますが、この規定が設けられた趣旨を説明してください。法人税法第55条第1項の「不正行為等に係る費用等の損金不算入」の規定との関係はどのようになりますか。
A.事実を隠蔽したり、仮装した経理手法を用いることで役員に支給される給与は、法人の損金に計上することができないと法律で定められています。この規定の意図は、売上を除外したり架空の経費を計上して捻出した資金から不正に役員給与を支給しているケースが税務調査で発見された場合に、これらの不審な取引を認めず、完全に損金に算入できないようにすることにあります。これにより、事実の隠蔽や仮装経理に対する税法の制裁を可能にしています。
次に、法人税法第55条第1項は、企業が不正な行為で税負担を減らそうとした場合、その不正行為にかかった費用や失った額は損金に算入できないと規定しています。この規定では、不正行為で使われた費用やその行為による損失が対象ですが、不正に得た資金(裏金など)で行われた支払いには適用されません。したがって、このような裏金で支払われた役員給与は法人税法第34条第3項に基づき損金として算入できないのです。